このガーデンコラムでは雑木の庭の植物の樹種、選び方や配置(レイアウト)について書いていきます。
雑木の種類や高さでテイストに変化をつける!
このコラムでは、雑木ガーデンの植物の高さ(樹高や草丈)に焦点を当てて、雑木の庭の雰囲気をかたち付ける要素である植物を高木、中低木などに分けて見て行きます。
里山風の『雑木の庭』を基本にしつつ、植える雑木の種類によって庭のテイストが変わります。
例えばテイストはイングリッシュだったり和風だったりします。
植物の高さに併せてテイストも織り交ぜて見て行きます。
雑木の庭づくりでは最初に高木選びから始めることが多いですね!後から植える下草や草花などの種類でテイストを変ええられます。
やはり最初の高木の樹種や樹形により、ガーデンの骨格となる雰囲気が変わってきます。
ここでブレイク!ちょっとしたコツ!手間いらずの日陰の植物
寄植えの下草の雰囲気づくりのコラムですが、手間いらずと日陰に強いことも重要な植物選びのコツです。
手間いらずの植物選び
やはり雰囲気のいい庭でも手間はかけたくないもの。
あまり手間のかからない植物を選びましょう!
例えば、雨だけでも育ちやすい、肥料をあまり必要としないなどです。
あと枯れるのも秋のひとときだけなどの種類を選ぶと長続きして、楽しめます。
日陰の植物
日陰に強い植物を選ぶのも大切です。
みんなが大きな庭がある訳でもないので、狭い庭ではどうしても日影の範囲が多くなりがちです。
日影でも育つ植物を選びましょう。
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それでは下草などの植物の種類、色合い、かたちや目線からの高さを考えて、その活かし方や効用なども見て行きます。
雑木の庭を構成する主役は、やはり落葉樹などの高木です!
その後で、どの木をどの場所に植えるかのレイアウトを考えます。
アオダモの株元周りの下草の植付例
最初は落葉樹のアモダモです!
アオダモはその自然な樹形で大人気の雑木です!お庭に植えてらっしゃる方も沢山いらっしゃいます。
高原の森にいるような爽やかな雰囲気になります。
味のある木肌とその自然な曲がりのある樹形、真緑な小ぶりな葉と魅力満載です。
そんなに早く育ち過ぎず、大きくならないのも庭の雑木としても選ばれる理由のひとつですね!
そのアオダモの株元を横から見てみます。
アオダモは株立ちで、その株元にリナリア・パープレアと西洋オダマキビジューサフィールの両方とも紫色の花が咲く植物を配置してみました。
紫色でも、淡い紫色のリナリア・パープレアと濃い紫の花びらに白い縁取り、そして黄色い花粉のビジュー・サフィールです。
高さに違いがあり、アオダモの株立ちに沿って立つリナリアのバランスがいいですね。
葉っぱの形状もリナリアはイングリッシュでスマートな細葉で、西洋オダマキのクローバーのようなカワイイ葉です。
西洋オダマキは育つとこんもりとたっぷり葉が付いてきます。
西洋オダマキを人が近づくエリアにリナリア・パープレアは背丈があるので後方に配置してもいいでしょう。
庭の背景づくりにもなってくれます。
リナリア・パープレア
どちらも宿根草なので、数年咲くので手間がかからず、翌年は株の成長も見ることが出来ますね。
両方の花もこぼれ種で増えたらいい感じのナチュラル感のある庭になっていきます。
広い場所ではボーダーガーデンのように風景を彩るように咲き誇ります。
切り戻すと2期咲き(夏と秋から初冬)するので、長い期間目を楽しませてくれます!
西洋オダマキ・ビジューサフィール
西洋オダマキ・ビジューサフィールも育成する条件が整えば大株になります!
西洋オダマキの株全体の直径は大きいものでは30~40センチくらいになりますね!(種類や環境によって変わります)
美しい自然な木姿の雑木の株元にも、華やかな宿根草で艶やかになります。
雑木と鮮やか過ぎない花を咲かす草花との組み合わせも意外と工夫次第でマッチし、とても美しい空間になります。
葉の緑色が美しい雑木と青色や紫色の花びらを持つ草花との相性はバツグンです。
株元のどのあたりがキレイに見えるポイントかを成長した苗をイメージ植え付けて見ましょう!
西洋オダマキは宿根草です。宿根草とは、越冬して何年か成長し花を咲かせる草花です。
日当たりや風通し、土壌など育成環境によりますが3年程度はお庭で育つことが多いですね。
種から育てると、芽出したその年はまだ花は付かないので2,3年計画や毎年少しづつ違う場所に植え付けてみるなどして、その年その年で違いを楽しんでみましょう!
エゴノキの株元周りの下草の植付例
エゴノキは少し樹皮がこげ茶からグレーの入った色彩で、野山にあるよう豊かな枝ぶりです。
荒々しい樹形の場合もあるので、大き目の葉の植物を選んで、エゴノキのインパクトに負けないよう下草を選んでみました。
5月くらいに釣鐘型の白い小花が連なって咲きますので、その頃のエゴノキはとても賑やかになります。
ただ、たくさん咲いた次の年は花付きがわるくなることも多々あります。
葉っぱは細かくて清涼感のある緑色です。
そして頭上で雑木の葉により日差しをさえぎってくれるので、人のいる場所では緑陰ができて日陰で涼やかです。
下草は隅田の花火(額紫陽花)とツリバナ、ギボウシ(ホスタ)です。
隅田の花火(額紫陽花)
隅田の花火はアジサイ独特の丸い楕円形の葉で緑のボリューム感を出しています。
梅雨の時期には八重の白い額(ガク)を付けます。星形なんですが、なんとも日本っぽいしっとりした額です。
エゴノキの荒々しい野生感のある雑木を背景に、少し園芸的要素が入った紫陽花をチョイスして植え付けてた事例です。
花色(額)が少しづつ変化します。最初は緑がかった白ですが、八重に星形が重なった白色の花びら(額)になり、
最盛期になると淡い紫を帯びてきた白色に変わります。
しっとしとした隅田の花火と荒々しい野趣あふれるエゴノキの取り合わせもチャーミングな風景です。
高木の落葉樹に中低木と下草を組み合わせると高さに変化が出てます。
植物の色や形が違うと見ごたえがあり、また毎年切り戻して風景を変えたりするのも変化を楽しめ、おススメなお庭を楽しむ手法です。
ギボウシ(ホスタ)
反対側にギボウシ(ホスタ)は地表面に近い位置に葉が円を描くように重なるように葉が重なり合うように出ます。
同じ下草でも、植物の性質により、地表面で育つものや茎や幹で立ち上がるものがあるので、下草の高さの変化を取り入れて雑木の庭づくりをしてみます。
高木の葉に合わす下草のお色目は多種多様にあるので、お好みのものをチョイスしましょう。
他の低木などが濃い色の葉の場合、明るい黄緑色などが入った葉色がおススメです。
目線が下にも行き、お庭の見どころが多くなります。
ギボウシは葉も大型のモノから小型のモノがあります。
また葉の形も葉先が細いものや丸いものと色目も含めて多品種で、いろいろな種類を組み合わせても楽しめます。
人の視線が高木から下草のギボウシ(ホスタ)まで飛び、もりだくさんで花は無くとも葉色で楽しむ雑木のお庭のスポットコーナーになります。
ツリバナ
イラストでは後ろにツリバナを配してみました。
よく見ると初夏の白ピンクの小花を付けています。
↓こちらがツリバナの花!意外と見られることは少ないです。
ツリバナは秋の赤い殻をもつ実が有名なので、花は見過ごされがちですが、小さくて可愛いですね。
この茶菓に合いそうな吊られた花は意外と知られていない??
ツリバナは枝が細く、葉も細かい繊細な木になります。(もちろんそれぞれの木の個性はありますが)
成長も遅い木になるので、風景が毎年大きく変わるほどではないかな?と思います。
春は新緑、初夏は花、秋は赤い殻からのぞいた実と紅葉、冬は樹形と見どころが変わりますので、四季の変化を楽しむ日本の風流さ感じることができる低木です。
やはり秋に赤い殻の実が割れたところは他にはない日本の情緒を感じます!
1本、お庭に追加されてはいかがでしょうか?(笑)
紫陽花のお手入れの方法
ここで少しお手入れの方法を。
隅田の花火(額紫陽花)は毎年、木丈が伸びるので、冬季に切り戻します。
額が付くためには花芽を残すために枝の先から3節くらいを目安に切入り戻しますが、枝が大きくなりそうなら枝によっては1枝をまるごと全体のバランスを見て切り落としてもいいでしょう。
少しお手入れすることで、毎年の大きさなどの成長度合いを調整してみましょう。
毎年目線からやや下に額が付いていると見易いです。見易い位置に額が来るように剪定しましょう!
ただ、やはり生き物ですから植生にあったかたちで剪定ことも大切ですね。
その点で言うと、下草や低木は植え替えたりして好みで変えることが出来るので、その自由さが大きなメリットですね。
株元のバークチップ(マルチングも兼ねて)
株元のおしゃれ感と実用を兼ねて、バークチップ(木を細かくしたもの)を蒔いてみました。
マルチングすることで夏の西日から根の周りの土の温度が上がらないように根を守ります。
根の周りの土の温度が上がると木の健康を害し、水分や栄養の吸収など機能が低下します。
また、木の株元まわりにバークチップ蒔くことで土の上面が褐色の木に覆われ、雑木の庭のテイストの雰囲気が上がり、シックな風景になります。
自然な雰囲気を保ち土の特徴を活かしたバークチップを蒔いてみるご提案でした。
お好みでバークチップ以外の表面の仕上げに利用することもできるので、他の素材(砂利を蒔く、苔を生すなど)も試してみましょう。