エゴノキを種子から育てる
― 静かに始まる、雑木の一生 ―
エゴノキは、日本の雑木林に自然に生育する落葉高木で、初夏に咲く白い花が印象的な樹木です。

苗木として流通することもありますが、種子から育てることで発芽から成長までの過程を丁寧に観察することができます。
ここでは、実生(みしょう)によるエゴノキの育て方を、順を
追って解説します。


1.エゴノキの種子の採取
エゴノキの実がなりました。
種のまわりに付いた実が青々して、まだ水分がありみずみずしいです。


次第に実の部分は、水分が抜けて実がしぼんで乾いていきます。
そして実はだんだんと薄くなって、しわしわの皮になって行きます。

一部の実からは種子がのぞいてきました。
エゴノキの種子は、秋(9〜10月頃)に熟します。
果実は直径1cm前後の長細い楕円形で、実が乾くと風などで地面に自然落下します。
長い間、木にぶら下がっている種もあります。
皮はあまり剥がれきりません。
落ちたの果実を拾い、中の硬い種子を取り出します。

2.エゴノキの種蒔き
エゴノキの種子は、休眠性が強く冬場など低温に一定期間さらされることで発芽しやすくなります。
そのため、採取後すぐに秋〜初冬にかけて種を蒔く方法が適しています。
春に蒔いても、あまり問題なく発芽します。
用土は、水はけと保水性のバランスが良いものを選びます。
市販の種まき用土、または赤玉土(小粒)を主体とした配合が無難です。

3.エゴノキ種子の埋め方
種子は深く埋めすぎないことが重要です。
5㎜くらい軽く薄く覆土します。
目安としては、種子の厚みと同程度の土をかぶせる程度にとどめます。
あまり厚く覆ってしまうと、発芽時に芽が地上へ出る力を消耗してしまいます。
表面は軽くならす程度で十分です。


4.エゴノキ種子の水やり
種蒔き後は、用土全体がしっかり湿るように水を与えます。
ただし、勢いよく水をかけると種子が流れてしまうため、霧状または細口のジョウロを使用します。
種子が動かないように勢いよく水をかけ過ぎないようにします。
それ以後は「乾かしすぎない」ことを意識し、表土が乾き始めたら適宜、水を与えてます。
約1か月程度時間が経過したら、やっと芽が出て来ます。
最初は双葉ですね。
本葉が出るまでは、少し時間がかかり1~2か月くらいかかります。

5.エゴノキの芽出し
発芽は翌春(4〜5月頃)になることが一般的です。肌感ではアオダモや山もみじより時期が少し遅く発芽することが多いです。
秋に植え付けた場合は、冬の間は変化がなくても問題ありません。
春になり気温が上がると、土中からゆっくりと芽が現れます。
最初は発芽苗は出来れば、直射日光や乾燥には注意し半日陰で管理します。
水分補給を見過ごしたりする日が続き乾燥しすぎると枯れる場合があるので注意が必要です。
発芽では最初は種子から少しまだ白い茎が見えてきます。
種子から茎が曲がった状態で出て来て、葉の部分がやがて上になって出て来ます。

くるまった葉が双葉が出て来ます。
茎は細い『もやし』くらいの太さです。
次第に茎がまっすぐになって行きます。
葉が開いてきて、茎が見えてから2,3日でしっかりと苗の形での発芽となりました!

エゴノキの双葉は丸くて大きいのが特徴です。
6.エゴノキの成長
双葉の後、更に上の節で本葉が展開し始めると、エゴノキらしい葉の形が現れます。
ここからは光合成も安定し、徐々に生育速度が上がります。

実生苗は成長がゆっくりですが、その分、環境に適応した丈夫な個体に育ちやすいという利点があります。
エゴノキの1年苗
1年経って、初夏には大きくなりました。
葉が交互に出ていく互生です。
エゴノキの形になって来ています。

幹は若木の茶色です。少し赤味が入ることもあります。
太さは5㎜くらいです。
1年後くらいから幹が分かれて、枝が出て来ます。
だんだんと木の個性により樹形が変わっていきます。

エゴノキの2年苗
樹形がだんだんと出来てきて、毎年少しづつ変わっていきます。
いくつかある場合は、苗木として好きな樹形を好きな場所に植え付けて配置していきます。
花が付くには数年かかりますが、寒肥など肥料を冬季にやると春先に花が付きます。
花を沢山付けると木の成長速度は少し落ちます。

枝先が枯れたり、小枝は枯れたりとしていきます。
樹形もいろんな形になって行きます。
数年後、雑木としての美しい樹形が形づくられていきます。
エゴノキを種子から時間をかけて育て少しずつ葉を増やしていく過程は、愛着も与えてくれますね。
静かに確実に育つ雑木の魅力を、ぜひ実生から体験してみてください。


